Microsoftが提供しているInternet Explorer が2022年6月16日についにサポート終了します。アナウンス自体は2021年5月にされていたのですが、終了日が迫ってくると「ようやくか……」というなんだか感慨深い気持ちになります。
10年以上この業界にいる身として、当時のことを思い出して書いてみます。
目次
かつては6割以上のシェアを誇っていたInternet Explorer
ブラウザシェアの過去から今までの推移を見てみます。最も古いデータが2009年の1月だったので、そこからのシェア率となりますが、Internet Explorer(以降IE)が圧倒的1位だったのがわかります。
現在その地位はChromeに取って代わられました。2010年くらいから徐々にシェア率を上げていき、2012年にFirefoxを追い抜き、2013年にはIEも追い抜くと、以降は現在まで1位を独走です。
ウェブ制作業界では憎き存在だった
ウェブ制作業界ではIEに対応するためだけに特別なCSSやJavaScriptを記述する「IEハック」と呼ばれる手法があるほど、ChromeやFirefox、Safariでは問題ないもののIEだけ崩れる、不具合が発生するといった問題に悩まされていました。
参考: IEハックの検索結果
IEの、さらに特定のバージョンだけ崩れるといった問題に対処するために様々なIEハックを駆使するという、結構な工数がかかっていたのです。また、確認のためだけに古いバージョンを入れたWindowsマシンを用意しておく必要がありました。
「クライアントのブラウザがIE」「アクセス比率からIEからのアクセスが一定以上あるため対応せざるを得ない」といった理由で、2010年代中頃まではIE対応せざるを得なかったのが現実かと思います。
IE対応しないという選択肢
IEのシェア率低下の影響で、制作会社の中にはIE対応のための別途工数を追加したり、仕様によりIEの対応バージョンを指定したりといった動きが出てきました。
弊社もIEのシェア低下により、IE対応するバージョンを指定しはじめたのが、ちょうど2010年代中頃だったかと思います。ただ、まだこの頃はクライアントや業界によってはIEをメインで利用しているというのもあったため、IE対応を含めるなど流動的に対応していました。
ようやくIE対応をしないという決断になったのは2019年です。この頃にはようやく日本でもIEのシェアが10%を切り始めてきたのもあり、現実的にIE対応の工数は不要という認識がクライアントにも浸透してきていました。
ただ、実際にはどうしても特定のIEバージョンで見過ごせない不具合が出てしまった等にて対応せざるを得ない場合もありました。とはいえ、そのような事例は多くはなく、数える程度だったためさほど大きな問題ではありません。
何よりも、仕様からIE対応をなくしたことで、予期せぬ負担がなくなったことは大きなメリットでした。
IEモードを使えば2023年まで使える
2022年6月にIEのサポート終了となるものの、実は特定のWindowsバージョンで「IEモード」を利用することで2023年まで利用できます。
Windows Serverや、Windows 10 IoTなど特定の環境においては最長で2029年までIEモードのサポートを行うようですが、一般的にWindowsマシンでブラウザを使うという想定ではありません。
使えない、使いにくいツールは淘汰される
自分がパソコンを触り始めたときに初めて触れたであろうブラウザはIEのおそらく5や6だと思います。この業界に入り、IE対応のため何度も苦しめられたこともありましたが、それが今終了するというのを目前にすると色々と思うところがあります。
しかし、結局はユーザーにとってメリットを多く持ったChromeに取って代わられ、IEは衰退の一途をたどることとなりました。
使えないサービスやツールは結局淘汰され、新しくよりよい方へ変わっていくのは明白です。例えば携帯電話だとガラケーからiPhone、コミュニケーションツールだとメールからLINE、SNSだとmixiからFacebookなど、至るところで見られた現象です。
変化に取り残されないよう、新しい知識を吸収し続けていかねばならないと強く思い直すのと同時に、一つの時代が終わることにしみじみと深く感じました。
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