他社構築によるWordPressに対して保守を引き継いて運用をしていると、いろいろなWordPressの構築方法が見えてきます。今回は、WordPress構築の選択肢の一つである「有料のWordPressテーマ」を購入した場合に起こってしまうデメリットやリスクについてご紹介します。
有料のWordPressテーマは国内・海外も含め多くのテーマが存在しています。テーマ販売ページには魅力的なウェブサイトが並び、ゼロからテーマ構築するよりもはるかに時間をかけずに一定のクオリティを保ってウェブサイトを構築することができるため人気があります。
メリットが多い有料テーマですが、当然デメリットもあります。どんな懸念やリスクがあるのか見ていきましょう。
目次
有料プラグインがテーマに含まれているのは避けるべき
テーマに含まれている有料プラグインのライセンスは、テーマのライセンスに依存しています。テーマのライセンスが期限切れになると、プラグインのアップデートやサポートを受けられなくなってしまったり、テーマに含まれているプラグインは更新自体できないようになっていることもあります。
プラグインの更新ボタン自体が表示されない例
有料テーマに含まれている有料プラグインは購入当初のバージョン固定での運用となってしまうため、プラグイン一覧ページに更新できる表示がありません。
例として、有料プラグインの「WPBakery Page Builder」が含まれている某有料テーマはこのように更新ボタンが表示されません。「WPBakery Page Builder」のバージョンは記事執筆時点でver 7.6が最新にも関わらず、6.7.0で止まったままです。
有料テーマに含まれた有料プラグインに対し脆弱性情報が公開された事例
実際にあったセキュリティ事例として、某テーマに付属していたSlider Revolutionプラグインが、テーマのライセンス期限切れ後に脆弱性情報(任意のファイルをアップロード可能となる脆弱性。参考元)が見つかりました。テーマに含まれているためプラグインはアップデートができず、更新するにはSlider Revolutionの有料契約を個別に行う必要があり、年間あたりの費用は¥6,000程度。Slider Revolutinoプラグインだけでランニングコストがかかってしまうため更新はしないとし、サイトが脆弱なままになってしまったことがあります。
テーマに含まれるプラグインは利用しないのが安心
ちなみにこのテーマは複数の有料プラグインが含まれているテーマで、テーマの価格よりも有料プラグインの合計額の方が高く、一見とてもお得に見えます。
- WPBakery Page Builder ($64相当)
- LayerSlider ($69相当)
- Slider Revolution ($109相当)
このようなテーマは要注意です。
「有料プラグインが含まれているからお得」というように飛びつくのではなく、その有料プラグインがなくても構築する前提で購入することをおすすめします。将来的にプラグインが更新ができないために脆弱性のリスクが上がってしまうのは避けるのが望ましいためです。
セキュリティと保守性の観点から、一番正しい選択肢は有料プラグインが含まれている有料テーマを避けることです。
多目的テーマはできるだけ避けるべき
いろいろな種類のサイトに対応できる柔軟性があるテーマのため、一見良さそうに見えます。
一方で、多機能のためにサイトの読み込み速度やパフォーマンスに悪影響を与えること、必要のない機能があることで管理がかえって煩雑になりわかりづらくなるリスクがあるため要注意。
パフォーマンスが悪く読み込み速度が遅い事例
実際に、某多目的テーマで作られたWordPressのパフォーマンスが低い事例をご紹介します。
この多目的テーマは様々なウェブサイトに対応していることを謳っているため、多くの機能やデザインオプションが含まれており、そのためにコードやスタイルシートが多く含まれます。これにより、サイトの読み込み速度が遅くなり、SEOへの悪影響やユーザー体験が損なわれる可能性があります。
Google PageSpeed Insightsのスコアはモバイル版で27点、各指標においてもほぼ低評価です。
有料テーマを選ぶならシンプル・特化・信頼できるテーマがおすすめ
以上のような理由から、有料プラグインがテーマに含まれているテーマや多目的テーマを避ける理由が理解できると思います。逆に言えば、これらのリスクを回避したシンプルで目的に特化したテーマや信頼性の高い独立した有料テーマであれば採用する価値があるということです。
例えば国産テーマだとこのようなテーマであれば安心して利用できるといえます。Snow Monkeyは国産フォームとして人気があったMW WP Form開発者の方が開発しているテーマで信頼でき、Lightningは企業コーポレートに特化して必要機能が含まれています。STORK19はブロガー向けに高パフォーマンスで扱いやすくアップデートも含まれているテーマです。
一度作ったら長く使うWordPress。長い目で安心して使えるテーマ選定したいですね。
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