システム開発会社といっても色々な規模とジャンルがありますが前提として、
- 大手ベンダー等ではない中小のシステムインテグレーター(SIer)
- 受託開発をメインとして業務を行っている
- 受託開発もしつつ自社開発も行っている
- システム関連のコンサルティングサービスを行っている
などのシステム開発会社を想定しています。
こういった中小の無名システム会社が「Webから集客しよう」と数ページ程度のウェブサイトを立ち上げたとすると、名刺代わりにはなりますが、まずアクセスは集まらずWebからの新規問い合わせは望めません。
システム会社がWebから集客、問い合わせをもらうようにはどのように集客する方法が考えられるか、Web検索で上位に表示されているシステム会社サイトを調査し分析・解説します。
目次
外部ブログと内部ブログでコンテンツ公開し内外からアクセスを集めているケース
公式サイト:ヴェルク株式会社 – board・Patto・データ分析・受託開発
自社サービスと受託開発を手がけるヴェルク株式会社。Web検索をしているとこの会社の社長が書く外部ブログが上位に表示されました。記事は「受託開発の会社が自社製品で集客できるようになるまでにやったこと(失敗含む・・・) – ヴェルク – IT起業の記録」。
内容としてはタイトルのとおりですが、この記事を閲覧するターゲットは直接的なお客さんにはならなそうです。しかし記事からは紆余曲折や背景、想いなど十分伝わってきて、代表の方の並々ならぬ熱意が感じ取れます。
記事最後に宣伝があり自社サービスを展開されていると説明があります。「これだけ想いをかけた方の作るサービスはなんだろう?」と思って見るだけ見てみようと思う方は一定数いると思います。遷移先はサービスページとなり、しっかりとブログから集客できています。
エンジニア採用にも有利
また、サイドバーにはてなブックマークの人気エントリがあり、受託開発の会社が本格的にWebサービスを開発・運用してみてぶつかった課題(只今5ヶ月目) – ヴェルク – IT起業の記録という記事や、受託開発を軸にしながら自社開発を継続するために行っている工夫(時間・お金の話など) – ヴェルク – IT起業の記録など、同業者で自社サービスをリリースしようとしている会社にはとてもタメになるコンテンツを提供しています。社長でなくても採用活動中のエンジニアなら「こんな方の元で働いてみたい」と思うでしょう。何の思い入れもない社員より、社長の目指すビジョンを事前にわかってくれた上で応募してくれるのでは雲泥の差だと思います。
役員自らブログを更新。代表個人ブログも
また、コーポレートサイトにブログ記事があります。
ヴェルクさんは役員2名の会社ですが、お二人にてブログコンテンツを更新されています。取り組みや経緯、背景など役員自ら情報発信するため記事から想いが伝わってきます。
そして代表のブログが先ほどのから移転して継続されています。
コーポレートサイト内に設置することもできますが、更新のしやすさかリスクヘッジ等で外部サイトにて運用されています。
このように継続的にご自身の言葉でコンテンツを定期的に発信している会社さんは強いです。周りも応援したくなるでしょうね。
自社の強みを活かした技術メディアを運営し競い合う仕組みを構築しアクセスを集めているケース
公式サイト:クラスメソッド|AWSクラウド、モバイル、ビッグデータ、IoTを通じてすべての創造活動に貢献
AWS、モバイルアプリ、ビッグデータ等のコンサルから設計、運用まで手がけているクラスメソッド株式会社。同社が運営する技術メディアAWS / iOS / Android技術者必読メディア:Developers.IO|クラスメソッドは日々タイムリーな情報を更新。Facebookページのファン数は約8500人まで届いています。
幅広いカテゴリーを網羅&執筆者同士競争する仕組み
AWSやビッグデータはもちろん、Angular.jsやPythonなどライブラリや言語に至るまで100以上カテゴリーがあり、記事更新頻度も非常に高く人気記事は各SNSシェア合計数500や600を超えるシェア数を獲得。技術メディアとして他を追随させないクオリティを保っています。
中でもAWSカテゴリーの記事数は3800件を超えています。
また、記事提供をする執筆者はランクや経験値を筆頭にページ閲覧数やシェアの数が細かく数値され、「自分が他とくらべどうか」というのが可視化できる仕組みができています。
毎月の平均執筆回数や一定以上で獲得できるリボンという指標も表示されるため、「俺はアイツより上だ」「アイツを超すためにあと3記事今月書こう」といういい意味で競い合える環境が出来上がっています。
会社としてもこの指標を社内の業績指標にも利用できるでしょう。ちなみに執筆者を確認したところ8割程度クラスメソッドさんの従業員のようでした。
記事が増えれば増えるほど露出が増える
各記事にはバナーが置かれ、クラスメソッドさんのサイトへ遷移するようになっています。また、現在開催中のイベントを表示するウィジェットや採用情報掲載枠等もあり、メディアを自社宣伝の場として活用しています。
執筆者が毎日記事を書けば書くほどPVが上がり自社への導線が1P1P増えていくという、自社メディアの強みを最大限に活かした導線作りです。
ちなみに、このメディアサイト自体はWordPressで作成されています。
SNSでシェアされやすい話題で社長自らがブログを書き大幅にアクセスアップさせたケース
公式サイト:残業ゼロのIT企業アクシア社長ブログ – 株式会社アクシア
最後はSNSで拡散・シェアしやすい話題でブログを書いて流入数アップさせていているケースとして株式会社アクシアをご紹介します。コーポレートサイト内にブログコンテンツを設置していて、2017年4月にウェブサイトをリニューアルされまだ数ヶ月ですが、5月のブログ記事公開数は20記事。代表自ら高い頻度でコンテンツを公開されている姿には脱帽です。
アクシアさんはホワイト企業アワードの労働時間削減部門で大賞を受賞されています。
ブラックIT企業がホワイト企業アワードを受賞するまで – 株式会社アクシア
システム会社はサービス残業が多いイメージがあり、そのような会社も多いです。もともとアクシアさんもブラック企業だったらしいですが、一念発起し残業0を実施しずっと継続されているようです。
ブログではそのようなブラック企業の実態を紹介したり、残業0にしたことでどのような変化があってメリットがあったか、業務への支障はどの程度だったのか、どうやって実現したのか、などなどただブログを書くのではなく、昨今の長時間労働からくる過労死や自殺問題といった社会問題という切り口で注目の大きいコンテンツを公開していているところがポイントです。
ソーシャルからの流入は約6割、検索からはわずか5%
そのようなコンテンツのため、SNSからのシェア・拡散が多くSNSからの流入が大きいです。
サイトへの流入経路 | 割合 |
直接流入 | 24% |
リファラー | 11% |
検索 | 5% |
ソーシャルメディア | 58% |
ソーシャルから約6割と非常に多い流入数となっており、検索エンジンからはわずか5%とあまり見ない割合です。直接流入も多いことから、お気に入りやフィード登録からも見られているかと思います。
人気ある記事ははてなブックマーク400超えや600超えのブックマーク数を叩き出しています。
ブログによりアクセス約90倍。優秀な求人応募が増加
ここに書いてある通り、サイトリニューアルされたのは2017年4月25日。リニューアル以前のアクセス数を見てみました。
時期 | 訪問者数(UU) |
2017年1月 | 3,000 |
2017年2月 | 3,000 |
2017年3月 | 20,000 |
2017年4月 | 5,000 |
2017年5月 | 270,000 |
1,2月と比べると訪問者数が90倍(!)になっています。SNSからの流入なので訪問者が直接仕事の問い合わせに繋がるわけではありませんが、すごい露出効果ですよね。採用にも有効ですと代表が仰っています。
求人への応募数自体が大幅に増えたということもありますが、優秀な方から応募してもらえることが増えました。プログラム経験者からの応募の比率も増えましたし、東大や早稲田の人からもたくさん応募いただいています。
人材採用に詳しい方に聞くと、アクシアのような小さな会社でこれだけの人材を採用できていることはすごいことだそうです。
よりよい人材から応募があり、さらに組織を強くしさらに業務効率もよくなるという最高のスパイラル。
また、サイトはWordPressで構築されておりサイト内のブログもWordPressで更新されています。
システム開発会社のWeb集客・構築まとめ
以上、3つの事例をご紹介しました。どの会社もコンテンツに力を注いでWebからの集客に成功されているのがわかります。共通しているのは、自社の強みとなるコンテンツを中心に、継続してコンテンツを公開していること。これがなかなか難しいですが、大変な事以上にメリットが大きいです。
「自社にしかない継続的に更新できるコンテンツ」は何か、一度じっくり考えてはいかがでしょうか。
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