11/1-2にベルサール新宿で実施されたWordCamp Tokyo 2019に参加してきました。1日目はコントリビューターデイというオープンソースであるWordPressに貢献しようという日。2日目は国内外様々なスピーカーが登壇するセッションデイ。2日目のセッションデイに参加してきましたので、簡単なレポートを書きます。
目次
WordCamp Tokyoとは
WordCamp Tokyo 2019 – 11/1(金)、2(土) @ベルサール新宿で開催されるWordPressの公式イベント
WordCamp は、WordPress Foundation[1] の公式な承認のもとに世界中で開かれている WordPress のイベントです。
WordCamp とは – WordCamp Tokyo 2019
WordPress に関連したブログ、ビジネス、ソーシャルメディアの話題を取り上げることもありますが、プログラムの多くは WordPress に特化した内容を扱います。
東京のみならず、世界中で開催されているWordPress公式のイベントであり、様々なジャンルのセミナー形式のセッションに参加できます。自身の経験やクライアントワーク等で培ったよりよい方法やこうやったら良かったよ、といった経験談や技術の話を15分〜45分程度にまとめて聞けます。
去年は毎年参加しているWordCamp東京に加え、初めて関西で開催されているWordCamp大阪に参加しました。今年の大阪は12月にあるようなので、内容とスケジュールで参加できたら行きたいと思います。
WordCamp Tokyo 2019の様子
今年は参加スポンサーが多かったのか、スポンサーブースが例年の入り口すぐではなく、部屋の中に設置されていました。WordPressのおなじみキャラクター、Wapooのラテアート(ずっとたくさん並んでいて飲めず)もあり、去年よりも規模が大きくなっている感じがしました。ちなみに、開会式はスポンサーブースと同じ部屋で行われこんな感じ。
各スポンサーブースからノベルティをたくさんいただくのですが、今年はロゴが入ったバッグが配られました。かわいい!これにノベルティをいれていきます。
見たいセッションが被っていて見られなかったセッションがありましたが、参加したセッションを簡単にご紹介します。
参加したセッション
サイトが消えてからでは遅い! 明日につなげるWordPressの保守管理
- WordPressセキュリティ対策の初心者向けのセッション
- サイトのログを確認すると自分が知らないところでたくさん攻撃されている
- 更新されていないテーマやプラグイン、PHPがないかどうか定期的に確認が必要
WordPressではじめるA/Bテストのススメ
- ウェブ解析士が行っているA/Bテストとはどんなものか、必要性や導入方法について
- クリエイティブは社内決定ではなくユーザーに選んでもらう方が目標を達成しやすい
- 具体的か、 計測可能か、 期限はあるか等、目標をきちんと決める
- テストを継続すると確実に成果が出る!
- A/BテストはGoogleオプティマイズを使う
WordPress as a Service – WordPressを使った新しいプロダクト・サービス開発について考える
- サイトを公開したのに運用タスクに時間が取られてしまっていることがしばしば
- 運用タスクを効率化しよう
- 本来行うべき業務に集中するために運用は自分でやらない方が効率化できる
- SasSを利用。例えば:
- 決済システムをSaaS利用にする: Stripe
- ユーザー管理をSaaS化: Auth0
- サイト内検索をSaaS化: Algoria
- AWSは欲しい機能を提供するベンダーとして考える
- WordPressをAPIサーバーにする。例えばEC Cube内でWP記事を流したい場合wp apiから引っ張ってきて実装するなど
- GatsbyやShifterなど、SSG( Static Site Generator)でWPを使うとWordPressの管理コストを削減できる。ただしPHPは使えなくなるのでフォームや検索フォーム等は使えなくなるデメリットは有り
- メリットとデメリットを考えて採用する
- SaaSを利用したり、WordPressをAPIとして利用する考え方が面白かった
カスタムフィールド製造業からの脱却 〜ブロックエディター(Gutenberg)をカスタムする方法〜
- Advanced Custom Fieldを使ったサイト制作方法からGutenbelgを使って同じようなことをできるのか、してみた結果の話
- カスタムフィールドは標準ではサイト内検索対象外
- 対象にしてもいいが、負荷が大きいためめちゃ遅い
- 記事保存時にpost_contentに書き込むという荒業をすれば検索対象に含まれる
- Gutenbelg標準でほとんどのカスタムフィールドは代替可能
- 繰り返しフィールドはInnerBlockを使えばブロック内に入れ子でブロックが作れる
- カスタマイズはブロックフィルタを使うことでhtmlの保存形式を変更できる
- カスタムブロックはregisterBlockTypeを利用。複数要素を持ったブロックを作れるし、固有のcssを付与することもできる。
- 複合検索はブロックエディタは弱いため、対応策としてカスタムタクソノミー側で登録してあげると検索が早くなる
WordPressとWooCommerceは日本のEC市場で通用するか ーー各事業者にとっての課題や利用価値、取るべき戦略ーー
- WooCommerceは世界中で使われていて、トップ100万サイトのシェアも高いが、日本のEC市場ではまだまだシェアが低い
- 課題はAmazonやYahooとの在庫連携
- WooCommerceを採用するメリットとして:
- オウンドメディア内から商品を購入できる、任意のカテゴリー商品を表示させる
- レンタル機能
- イベント機能
- 今始めれば!という文句: 世界のトップ100万ECサイトのシェア26%で1位
- 国内ECの全ては楽天が基準になっているので、連携などする場合はラーニングコストは絶対発生する
I’ve been hacked! So, now, what??
- プレゼンターは現在Sucuriで働くセキュリティアナリスト(英語セッションのため同時通訳有り)
- 前半はハッキングについての基礎知識、後半はハッキングされたらどうするべきかという話
- ハックされたらどうするか
- 開発者や管理者等に連絡
- ホストプロバイダーに連絡
- クライアントに連絡
- セキュリティチェックとブラックリスト登録されていないかチェック
- 不要な管理者の削除、使っていなかったりアップデートが切れたプラグインやテーマがないかチェック
- すべてのパスワードを変更
- 上記すべてやっても駄目なら、リストア(最終手段)
- ハッキングされないようにWAFの導入がおすすめ
- 内部の方の話を聞く機会はないため、非常に参考になった
- 同時通訳のセッションだったが、通訳者のセキュリティに対する知識がないと通訳も難しいそうだった
つながる
今回のテーマである「つながる」を考えた時、コントリビューターデイは今まで参加したことがなかったが、WordPressを使っている人やWordPress自体に貢献するために何かしらできることがあるのではないか…と今回初めて思いました。
毎年思いますが、WordCampはじめWordPressのコミュニティはとてもオープンで参加していて楽しい場です。参加者が困ることのないよう、楽しんでもらえるように考えられていて、初めてでも一人でも何も困ることはないと思います。(毎回自分も一人で参加です)
スポンサーブースにはサーバー会社の方もたくさんいらっしゃって、いつもお世話になっているものの、触れることの無い方たちといろいろとお話できる機会はそうなかなかありません。
もし仕事やプライベートでWordPressを使っていたら、是非来年は足を運んでご自身の目で確認し、WordPressにもっとつながって、よりよい使い方を発見してもらえたら嬉しいです。
2019/12/09追記: WordCamp Osaka 2019にも参加してきました
12/6,7 に大阪にて開催されたWordCamp Osaka 2019のセッションデイに参加してきました。東京と比べると、セッション数は少ないものの、1セッションが45分と長く内容が濃かったです。簡単に参加したセッションのご紹介。
WordPress でも大丈夫!実例で見るウェブパフォーマンス改善
表示速度最適化を細かく手動対応した話で非常に為になりました。
- chromeが表示が遅いサイトに不名誉なバッジ付与を検討中
- 様々な調査・計測ツールの紹介
- さくら、 ロリポップ(ハイスピードプラン)、 ヘテムル、エックスサーバーで表示速度的おすすめサーバーは?
- PHP7は必須
- MySQL、画像、遅延読み込み、キャッシュ、PWA、CSSやJSの制御、レンダリングを妨げるリソースの除外の話と方法
エンタープライズ向けにWordPressを提供するためにあなたとコミュニティができること
個人事業や中小企業向けで使われることの多いWordPressをどうエンタープライズ向けに活かしていけるか、というお話。エンタープライズ向けに導入提案をされている方のお話で、ウェブ周りで色々と必要になることをどうやったら実現できるか?という今までWordPressを主戦場にしている人にはあまり効かない新しい視点でのセッションだったと思います。
- エンタープライズ向けにウェブ周りで必要なこと
- エンゲージメントは大きな企業だけでなく、中小企業でも必要になる
- WordPressを使ってどうエンタープライズに活かすのか
Gutenberg 以降のテーマ作成に向けて、今学ぶべきこと
WordPress 5.0から導入されたブロックエディターによって、今までの制作手法とは大きくかわり、カバーする領域が増えたという実例でのセッション。
- PHPの書き方
- CSS設計
- ブロックエディタ登場により管理画面とフロントエンド両方、またアップデートによる新しいブロックの登場を気にしないといけない
- オリジナルテーマ作成は大変…
- ブロックエディタのカスタマイズ
- やりすぎると、バージョンアップでコアに追加されたりするので、やりすぎないほうがよさそう
運用も最大限考慮!コーポレートサイトでブロックエディタフル活用の事例紹介
実際にブロックエディタをフル導入して制作されたサイトを紹介しながらのセッション。ブロックエディタをこう使うと運用しやすいというのを、フロントと管理画面両方紹介しながらの超わかりやすいセッション。床に座り見が出ているほど超満員!
- ブロックエディタ、カスタムブロック、再利用ブロックの活用方法
- クライアントが必要としているコンポーネント(ブロックエディタ)がなんなのかわかっていないといけない
- ブロック感の余白調整が大変
- カスタムフィールドは基本不要。使う場合はコンテンツ以外に利用する
所感
思ったのは、Gutenbergへの期待と不安からなのか、ブロックエディタ系のセッションが超人気で立ち見や座り見が出ているほどでした。そして超満員だったため、セッション会場が暑く集中が続かなかった。。。
WordCamp Tokyoと比べて、1セッションの時間が長いのは個人的には内容が濃く非常に嬉しかったです。短いとどうしても概要で終わりがちで細かい話までいかないから。
今年も東京、大阪と両会場へ行け、今後の制作に活かせる情報を吸収してきました。帰りの飛行機の時間があったため、泣く泣く途中で帰らざるを得ませんでした。
関係者、スタッフの皆様お疲れ様でした。