WordPressを使うことで個人や企業ブログにとどまらず、企業や店舗といったコーポレートサイト、ブランドサイトやランディングページまでいまや簡単につくれるようになりました。それにとどまらず、開発に時間もお金もがかかるようなシステムや仕組みがWordPress自体の機能やプラグインのインストール、独自のカスタマイズをすることでゼロから構築するよりも容易に実現できることが多々あります。
そこで実際に構築した例を元に、「こんなWordPressの使い方がある」「ちょっと変わったWordPress利用例」をご紹介します。
目次
機能充実のECサイト
楽天やAmazonといった大手のシステムから、BASEやSTORES.JP等の無料で始められるサービスまでありますが、コーポレートサイト内にECサイトを組みこんでデザインを統一したり、サイト内のデータベースと連携する、カスタムされたECサイトを作る場合にWordPressで構築するという選択肢があります。
WordPressにはWooCommerceというWordPressの会社であるAutomatticが開発を続けているショッピングサイト用のプラグインが公開されています。
WooCommerceを有効にするとウェブサイトにECの機能を持つことができ、基本的な機能の幅を広げながら、さらにデザインや機能もカスタマイズ可能です。
例えばできるこんなこと
- 特定の商品は何個以上(または何個以下)でないと注文できないようにする
- 特定の地域や商品、商品カテゴリーだけ配送料を変更する
- 商品にさまざまなバリエーションを設定し、選択した組み合わせで画像や商品説明文、金額を変更する
- 商品一覧ページを自由なデザイン・レイアウトにする
- 必要な情報を入力必須にして注文時に必要情報を全て確定した上で注文完了とする
- 注文と連動させ、オーダー完了時に特定の情報を付与しデータベースに保存する
- 注文とは別に見積もり機能を作成し、見積もりを行ったお客様情報をWooCommerce側に登録する
…など、こんなことができたらと考えるカスタマイズは大体実現できます。
セキュリティ対策はしっかり行う前提とはなりますが、既存のシステムでは対応していない、カスタマイズしたいといった場合はWordPressでECサイトを作るというのも選択肢の一つとして有りかもしれません。
その他のオープンソースEC系CMSでもOK
無料で公開されているネットショップ向けCMSとして、EC-CUBEやMagento等があります。もちろんそういったEC専用のCMSと検討した上で選択されるべきです。
カスタマイズもそうですが、WordPressをECサイト化する上での最大のメリットはWordPressで作成した本家サイトとの統合でしょう。デザインの統一、シームレスな商品ページへの遷移、コーポレートサイトと統合したアクセス解析、SEO等、統合するメリットは大いにあると考えます。デメリットは開発元が英語なので、日本語の情報も増えているとはいえど最新情報や公式マニュアル等を確認する際にはやはり英語での情報となる部分でしょうか。
参考: WooCommerce – Sell Online With The eCommerce Platform for WordPress
エクセルやCSVデータと連携した更新機能
社内でエクセル等のデータに一括入力している情報を公開し、かつ継続的に更新するようなサイト運営をWordPressで構築可能です。
イメージとして、社内で複数人で管理しているエクセルがあり、数千〜数万程度の列に各種情報を保存しているとします。
この情報を外部に公開するためサイトに各ページとして登録しようとすると、通常一件一件手入力で行うことになり、とても気の遠くなる作業で更新の手間もかかり、間違いも起こりやすくなります。
自動でページを更新する仕組み
そこで、CSVデータを一括でインポートするプラグインを利用しページ作成を自動化します。
掲載情報を常に最新に保つため、CSVデータをサーバーの決まった場所にアップすると更新のあったページだけ更新します。さらに、1日1回決まった時間にサーバーへ確認しに行き、更新があれば各ページをアップデートする設定にすると、システム側は毎日自動でページを更新することになります。
データが置いてあるサーバー上はパスワード保護をした上で、システム側の確認の際にパスワードを利用して取得することで安全な運用が実現できます。
これにより、社内で管理された情報が自動的に公開され更新や承認の手間、またタイプミスといった手間がなくなり、効率もよくなるという環境をWordPressで作ることが可能です。
WordPressでデータをインポートするプラグイン例:
Ultimate CSV Importer | WordPress.org
Import any XML or CSV File to WordPress | WordPress.org
大量のデータを頻繁に更新されるサイト向けの一括更新
上記のCSVデータインポートと重なりますが、大量のデータを頻繁に更新する場合は毎回手入力するのは大変です。また、データ形式がカスタムフィールドなど、それぞれのデータが分かれていて一括コピペできない場合などは手動で対応するとなると特に大変かつ間違いも起こりやすくなります。
そのような場合は、データを事前に定義されたCSVに整形する必要はありますが、一括して複数ページの変更したい部分のみを対象として更新することができます。
例えば毎日更新するランキング、不動産情報やイベント情報といった頻繁に変わるデータなどに効果的です。
リンク先の設定も自動化できる
リンク遷移先がサイト内の場合、CSV側にURL情報を持たなくてもインポートしたページタイトル名やID名といったユニークな情報を照合することでリンクの設定を自動で設定することができるため、インポート元のデータにURL情報を持たずにすむメリットがあります。
さらに遷移先の情報を取得・表示することにより、柔軟性のあるサイトが設計でき幅が広がります。
社内イントラと連携した情報集約と社内SNSツール
社員向けのWikiや資料置き場、お知らせ、各事業部ごとのメンバー紹介やテーマに沿ったSNSなど、WordPressを社内イントラネット内として有効利用できます。
社内イントラネットに限定した場合、外部サーバーに設置しないため、セキュリティの観点から外部サーバーより安全に運用できます。
また、各社員専用のIDとパスワードでイントラネットにログインしているというケースの場合、WordPress側のログインを不要としてサイトにアクセスさせることもでき、ログイン画面が省け扱いやすい運用となります。
会員サイトに嬉しい細かい権限設定や管理画面インターフェース
WordPressの機能である権限レベルを変えることで、特定のページを編集できるようにしたり、各種データのアップロードができたりとする他、同じ権限レベルでも権限グループを別途作ることでさらに詳細の権限を分けられるといったカスタマイズされた権限を追加することもでき、柔軟な運用が可能です。
WordPressの優れたUIの管理画面が使えるため、わざわざバックエンドを開発せずに使い勝手のいい管理画面が利用できるのも工数・学習コストが少なくてすみます。
ただ、WordPressは常にバージョンアップの問題がつきまとうため、イントラ内に設置するのであればバージョンアップは行わないというのも一つの正しい判断です。
WordPressサイトをSNSにするプラグイン
プラグインを利用することでWordPressサイトをSNSに変更することが可能です。プラグインは無料なので、サイト内にSNSを構築しようと思っている方は一度検討される余地があるのではないでしょうか。
参考: BuddyPress | WordPress.org
このようにWordPressは本当に様々な使い方ができますが、向き不向きがあるため、なんでもWordPressで実現しようとすると無理が生じることもあります。また、カスタマイズをしすぎるとWordPressやプラグインのアップデートに影響をあたえ、保守管理の手間が増えたりセキュリティリスクが高まるということもあるため、そのあたりは他のツールも検討しつつ構築を検討されることをおすすめします。