仕事柄、主にセキュリティの理由から固定IPを利用しなくてはならない場合があると思います。固定IPを提供するサービスは色々ありますが、長年インターリンクの「マイIP」を利用しています。
マイIPはどこでも固定IP環境を実現します | インターリンク【公式】
そのマイIPが、新しい接続方式として「WireGuard」を2024年3月に提供開始しました。なんでもWireGuardは高い接続性と速さが特徴とのこと。
気になったので、接続方式をWireGuardに変更して、従来の接続方式との速さを比較してみました。
目次
WireGuardとは
WireGuardは、フリーかつオープンソースのルーティング又はブリッジで安全なポイント・ツー・ポイント接続を作成するための技術であるVirtual Private Network の実装であり、アプリケーション及び通信プロトコルである。
WireGuard – Wikipedia
とWikipediaに説明があるものの、少しわかりづらかったので別のサイトを参照します。
WireGuardとは、Jason A. Donenfeldによって開発されたオープンソースのVPNソフトウェアである。(中略)
WireGuardとは | OSSのデージーネット
WireGuardは、SSHのようにシンプルかつ簡単にセットアップが可能なことを目指して開発されている。(中略)
またWireGuardは、最先端かつ信頼のできる暗号方式を採用しており、(中略)効率よく通信ができるように設計されていることから、OpenVPNやIPSecよりも高速に動作すると報告されています。これらのことから、WireGuardは次世代のVPNサーバとして期待されている。
- シンプル設計で高効率
- 信頼できる暗号方式
- 高速
ということで、WireGuardは期待できそうな印象です。
マイIPからWireGuardが提供開始
3月中旬頃、マイIPを提供するインターリンクから案内が届きました。
この度、ご利用いただいているマイIPサービスにおいて、新しい通信方式である「WireGuard」に対応いたしました。
「WireGuard」は、端末側のIPアドレスが変化しても接続が維持できる高い接続性と、ルーティング機能が特徴の通信方式になります。
また、アプリへ指定のファイルをインポートするだけで簡単にVPN設定ができます。
公式サイトにも案内が掲載されていました。
マイIPで、高い接続性と速さが特徴の通信方式「WireGuard」をご利用いただけます。
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今まで接続方式はL2TPで接続しており、接続が途中で切れたり、遅すぎて使えない(どうしても一定の遅さにはなってしまうが)ということは特に感じませんでした。
一方、新しい接続方式であるWireGuardの提供が開始され、高い接続性や速さが特徴となるということで、気になり試してみることにしました。
アプリをダウンロードして設定ファイルを読み込ませるだけ
インターリンクからの案内とマニュアルに懇切丁寧に説明されており、10分くらいで設定は完了しました。
従来のL2TPにおいても公式提供の「マイIP」アプリを利用する必要があったため、固定IPを毎回利用するための手間は変わりません。
L2TP、WireGuard、固定IP利用無しの3つで速度を比較
L2TP(従来の接続方式)、WireGuard、そして参考のため固定IPを利用しない接続でインターネット速度を計測しました。念の為、1回目と2回目の計測は別日に分けて、さらに別ツールで計測しています。1回目と2回目の計測時間はどちらも10時台です。
LT2P
L2TPは下りが9.4Mbps、上りが10.2〜10.7Mbps程度。
WireGuard
WireGuardは下りが9.2〜9.3Mbps、上りが10.3〜10.7Mbps程度。
固定IP利用無し
こちらは参考として。固定IP利用無しは下りが235〜414Mbps、上りが156〜186Mbps程度。やはりマイIPによる固定IPを使う場合、接続方式によらず大きく下りも上りも速度低下します。
結論。速度に大きな変化無し
従来の接続方式のL2TPと、新しい接続方式のWireGuardの比較表です。値は平均値としました(小数点第三位以下は切り捨て)。
L2TP | WireGuard | |
---|---|---|
下り | 9.44Mbps | 9.32Mbps |
上り | 10.50Mbps | 10.58Mbps |
ほぼ同じの速度結果となりました。
よって結論としては「速さに大きな変化はない」となります。ただし、WireGuardには接続性が改善されるという点(未検証)と、ルーティング設定が可能なのは便利だと思いました。
WireGuardの利用では、VPNで接続したいIPアドレスをCIDR形式で最⼤20登録できるルーティング機能があります。登録されたIPアドレスのみVPNサーバーを経由し、それ以外は通常のインターネット通信をします。普段のインターネットとVPN接続との境を意識せず使える便利な機能です。
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速さ目的でWireGuardに変更するというよりは、接続性改善のためやルーティング機能利用目的で変更するのが良さそうですね。ご参考になれば。
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