本日はエッセイです。
ここ数ヶ月、いや数年はWordPressサイトの最適な作り方を模索してます。
今までにオリジナルテーマ制作、公式テーマのカスタマイズ、有料テーマの利用など様々なテーマ制作方法を経てきました。
本記事では、いままでとこれからのWordPressサイトの制作方法について考えてみました。対象者は制作会社やフリーランスでWordPressサイトを作っている方。また、WordPressでサイトを作ってみようと考えている人あたりです。
今までの主流だったオリジナルテーマ
今まではオリジナルテーマによりWordPressサイトを構築することがメインでした。最初にPhotoShop(人によってはIllustratorやその他ツール)でデザインを作成し、関係者に確認。フィードバックを反映し、確定したらそれをそのままブラウザ上で再現するHTML/CSSを書き、動きはJavaScriptで実装する。多くの制作者はこんな制作方法が主流だったと思います。
スマートフォンやタブレットの出現により、パソコン以外のデバイスでもウェブを閲覧することが増えてきて、各種デバイスに応じたデザインが求められます。同時に全デバイスに対応するレスポンシブデザインが現れ始めました。それにより、デザイン作業はスマートフォン用(余裕があればタブレットデザインも)を作成することとなり、当たり前に制作コストが上昇。制作スケジュールも長くなります。デザインデータをコーディングする際に確認がとれたデザインを対応するためにdisplay: none;(デバイスごとに各要素を表示したり非表示にすること)で対応したりしてました。今ならそんなことやらないけど…
また、WordPress 5.0 からGutenbergというブロックエディタが導入され、コンテンツ制作方法に大きな変更がありました。オリジナルテーマで制作されているテーマは各種ブロックをテーマに対応させないといけないので、めちゃくちゃ大変なんですね。すでに納品済みで動いているサイトは応急措置としてWordPressをアップデートしてもGutenbergに対応しないような措置をとったり…
こういった変化により、オリジナルテーマでWordPressサイトを構築するメリットが開発側にもクライアント側にもなくなってきていることをここ数年ひしひしと感じていました。というか、そもそもデザインつくってコーディングしてという方式はいろいろな問題を抱えます。
デザインファーストの問題
- 前述の通りモバイルやタブレット等のバラバラのサイズごとのデザイン・コーディングは工数がかかる
- ゼロからデザインを起こしても使いやすいレイアウト構造は限られてくる
どこにもないデザインが果たしてユーザビリティがいいのか?という問題もありますし、結局汎用テーマでいいという結論に。
大事な大事な予算
- デザイン制作とオリジナルテーマ制作により予算がかかる
- 最低限のデザインと汎用テーマで工数大幅ダウン
- JimdoやWixといった無料制作ツールと比較される
いまやウェブ制作は特別なものではなく、パソコン操作ができればある程度のものは誰でも作れます。後述の配布テーマや有料テーマを採用することにより、オリジナルテーマ作成よりも大幅に工数削減できます。
制作が目的ではない
- 公開してからコンテンツの追加に予算を割くべき
- A/Bテストやアクセス解析でクリエイティブ変更やコンテンツ作成に時間を使う
- 公開をできるだけスピーディーにし、サイトを育てることがプロジェクト成功につながる
これが一番大事。サイトを制作する制作会社やフリーランスは制作して納品したら終わりのため、「制作すること」が目的になりますが、そのサイトを使う企業や団体はサイトを使って問い合わせ数・申込数・購入数などを増やしたりブランド認知向上が目的のはず。なので制作はあくまで最初の通過点=スタートラインにすぎません。
配布テーマや有料テーマを使う方式へ
で、個人的にこれからのWordPressサイトの制作方法はこういうふうになっていくんじゃないかなーというのがここから。
WordPress公式テーマディレクトリを見てみるといろいろなテーマがあります。WordPressによるデフォルトテーマや、個人や企業が制作・配布しているテーマなど。これらはすべて無料で利用可能です。一方、有料として販売しているテーマもあります。有料テーマを販売しているThemeForestではAvadaなどの有名な有料テーマが多くあります。
デフォルトテーマはWordPress自らが開発している公式のテーマ。デフォルトテーマを使うメリットは構造的に安心のためカスタマイズに向いていることやカスタマイズ事例が多いことです。例えばTwenty Twentyは大前提としてレスポンシブデザイン&Gutenbergに完全対応しているところも安心です。また、テーマディレクトリに登録されているテーマはガイドラインが決まっており、レビュアーによるチェックを通過しているため、基本的には安心して使えるテーマが揃っています。中にはカスタマイズ向きではないテーマや、特定の用途に限定されているテーマもあるため吟味が必要です。
一方、有料で販売されているプレミアムテーマは公式テーマの一切の制約がないため、無料テーマに比べて各種優れていたり、機能が豊富だったり、サポートが受けられるというメリットがあります。カスタマイズする場合はテーマによってはカスタマイズ方法が決められているので、事前に知っておく必要があります。例えばStudioPressの提供するテーマはGenesis Frameworkというフレームワークで作られており、カスタマイズは独自フックを使ってカスタマイズするなど。
いずれにしても、今は多くのテーマの基本はレスポンシブデザイン+Gutenberg対応がベースとなっており、そこから各種テーマのオリジナリティ。
ただ制作手法は一択というわけではなく、それぞれにあったやり方でいいと思います。実際にいろんな人の意見があります。
ページビルダーという選択肢
個人的に革命的だと思ったのがページビルダー。どれがベストのテーマかというのは繰り返し記事が上がりますが、Page Builder により新しい制作方法が出てきました。これにより色々なメリットがあります。
- デザイン済みのテンプレートが豊富
- ページビルダー上でたいていのことはできるため多くのことはカスタマイズする必要がなくなった
- 共通のヘッダーやフッター等を管理画面上で作成・管理可能=テンプレートを作れる
- テーマはシンプルで軽いものが最良という考えにシフト
ゼロからデザインするよりもテンプレートを利用して変更するほうが工数が大幅に少なく、実質テンプレートが作れてしまうため、テーマ側で管理する必要がなくなりました。そうすると、テーマはシンプルで軽いものが最良という考えにシフトします。これはモバイルからのアクセスやインターネット全体の事を考えると軽くするのが望ましく、パフォーマンスの観点からも正しいです。
ページビルダーは有名なところだとElementorやBeaver Builderがあります。それぞれのダウンロード数は以下の通り。
- Elementor: 4,000,000
- Beaver Builder: 300,000
Elementorのほうが桁が一つ大きいのでダントツです。ちなみにElementorで作られたサイトは400万にのぼり、半年ごとに100万のサイトが作られているとのこと。そして最近15億円の資金調達も済んでます。
WordPress用ウェブサイト構築プラットホームのElementorが約15億円調達 | TechCrunch Japan
ページビルダーは一部Gutenbergとかぶる部分があるんですけどね。自分はどちらか一度というよりは、通常の記事更新はGutenberg。トップページや作り込むページはページビルダーという棲み分けでいいと思ってます。
そして、ページビルダー向けに最適化された軽量テーマも出てきます。
- Hello Elementor – WordPress theme | WordPress.org
- GeneratePress – Lightweight, Responsive WordPress Theme
- Astra – Fast, Lightweight & Customizable WordPress Theme for Any Website
上記のテーマでテストしたところ、非常に簡単にページを作成できました。また実際にElementorで作って公開もしていますが、テンプレートファイルを一切触ることはありませんでした。
これからはいままでのようなオリジナルテーマでの制作ではなく、テーマしかり、ページビルダーしかり、新しい制作方法が定着していくのではないかというところで現時点の意見としておきます。あくまで現時点…w
ちなみにこのサイトは記事執筆時点で有料テーマをカスタマイズ&CSSフレームワークを導入してテーマ作成しています。今なら別の方法をとるけど…
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